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「河よりも長くゆるやかに」吉田秋生

これこそがワタクシの青春の一冊である。
と書くと大袈裟ですが。


『河よりも長くゆるやかに』は男子高校生が世の中を斜めから見て茶化したり、シビアに悩んだり、煩悩でアタマがパンパンになったり、大人の事情に振り回されて不条理に感じたり、それらがいちいち当時の自分を思い出させ懐かしくなったり恥ずかしくなったりします。


近頃頻繁に思春期から青年期の自分を思い出してはうぎゃーーーっと叫びだしたくなります。なんと恥ずかしいバカ野郎だったのでしょうか。出来ることならば当時の自分にバケツで水をぶっかけてやりたいくらいに。
世の中のことがわかったような偉そうな態度と口だけは無駄に達者なクソ餓鬼だったワタクシでしたので、両親も扱いには辟易していたと思います。流石にこの歳になって、過去のこととは言え両親に申し訳ない気持ちがふつふつと湧いてきたりしてそれとなく詫びを入れてみたりしてますが、返す返すもよくぞ見捨てないでいてくれたものだ、と感謝と尊敬の念を抱かずにはいられません。
逆にかつての両親の行動や言動で、いまだに納得できなかったり実はちょっとばかり傷ついたままだったりすることもあります。クソ餓鬼だった頃はそういったことを逆手に取って反発しまくったわけですが、さすがにこの歳にもなると、親だってひとりの人間にすぎないのだししょうがないかなと拘りが薄れ横に置いておけるようになったようです。親は神様ではないのですから。万能なわけがないのです。

こういう域に自分の気持ちが持っていけるようになったのも、やはりそれなりに歳を重ねた分だけ生きてきた経験のおかげなのかもしれません。いやいや、まだ全然小童ですけどね。精神鍛錬が足らんですから。

よく「若い頃に戻りたい」と人は言います。特に女性は若い頃の弾けるような肌や重力に負けないハリのある肉体を懐かしむのはわからないでもないですが、いわゆる青春時代に帰りたいというような気持ち、「あの頃は良かった」的な気持ちはあまりわからないワタクシです。ワタクシは神様が時間を戻してやろうと仰ってもまっぴらごめんです。再び小童最上級な時代をやり直すなんて拷問か、と思うのです。
やり直したとして、それはもう素晴らしい青少年にでも自分がなれるもんならいいかもしれませんが、所詮器が変わるわけでなし、絶対同じようなことを繰り返すだけです。頭の中だけは現在の自分であれば多少はマシかもしれませんが。

ただ、かつてバカやっておいてよかった、とも思っています。
もし若い頃にただひたすらお手本のように品行方正にしていて、ハメをはずすこともなくバカをやることもなくいたとして、万が一いい歳をした大人になってから爆発しちまったら、それこそ大問題で周囲が大迷惑大混乱するってものです。若い頃ならまだバカ野郎で済まされたかもしれないことが、大人になってからだと本当に痛いことになってしまう。


高校生になって吉田秋生作品に出会い、これがはじめに読んだもののひとつです。部活の男の先輩に「おもしろいから読んでみな」と薦められたのでした。それまで割と単純な少女マンガばかり読んでいたワタクシのマンガ暦の転機のひとつになった作品でもあります。


河の上流は水は綺麗だけど、流れは急で河幅も狭い。
河の下流は水は汚れはするけれど、海に近くなって河は広くなり深くなりゆったりと流れる。

どっちがいい?
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「あさきゆめみし」大和和紀

源氏物語が登場して千年を迎える「源氏物語千年紀」として今年は記念行事やイベントをいろいろやっているらしいのですが、書店でも現代語訳本や関連本が多く見られます。『あさきゆめみし』も完全版として新たに豪華本が出版されて山積みになってますね。

ワタクシが初めて読んだ源氏物語は谷崎潤一郎訳でした。中学生だったのですけどある日ふと読んでみたい衝動に駆られまして国語担当の先生のところへ相談に行きました。原文で読むには全然古典の勉強不足だから現代語訳の方がいいのだろうけれど、一体どれを選択すればいいのかわからなかったのです。その旨を申しましたらば先生は「では僕の持っている本をお貸ししましょう。大変素晴らしいのでどれだけ時間が掛かっても構わないですから、じっくり読んで御覧なさい」と仰ったのでした。後日先生が丁寧に風呂敷に包んで貸してくださったそれは谷崎潤一郎訳のとても美しい装丁の年代物の豪華本でした。
結局丸一年ほどお借りしたまま何度も何度も読みました。時代背景がよくわからなかったり当時の風習風俗にピンと来なかったりもありつつ、”日本文学最古の傑作長編小説”みたいに説明される源氏物語が、平たく解釈して大河恋愛ロマンものみたいに捉えるとより一層おもしろく感じました。

『あさきゆめみし』に出会ったのはこの後です。おお、マンガになってるなんて一体どんなものなのだろうか、あの世界をどう表現しているのだろうか、とかなり期待しながら読み始めました。画で描かれると話がやはりつかみやすいです。ただ『あさきゆめみし』の画でイメージが固定化されてしまう恐れがかなりあります。逆に女性登場人物の見分けがさっぱりつかない、という声も多く聞かれますし(ワタクシはそれほどでもなかったですが)また原文とは多少流れや表現を変えている部分、削除している部分もあちらこちらにありますので、首をかしげるということがないでもないですが。

ある年の共通一次試験の国語で古文が源氏物語から出題された時『あさきゆめみし』のおかげで問題が解けたという受験生の声が新聞に載ったりして受験生の定番本みたいな扱いにもなっていたりしますが、なにしろ根本的には少女マンガですからそれ以上でもそれ以下でもないとワタクシは思っています。

決して否定的なわけではないのです。ただ『あさきゆめみし』は源氏物語をベースにした少女マンガにしかすぎないと思うのです。原文のままで読み進められる人からすれば現代語訳すらそれは決してイコール源氏物語ではない、ということになりましょう。つまりはそういったことで。

大筋を知るには『あさきゆめみし』は本当によくできていると思います。また少女マンガとしてなんとも豪華絢爛な画柄でドラマチックな作りになっているのでワタクシは大好きで、所有マンガの殿堂入りをしているひとつです。これがきっかけで古典の世界にはまった人もそれはたくさんいるはず。マンガの持つ魅力と底力を感じます。

余談ですが更に後に現代語訳は与謝野晶子訳、円地文子訳、瀬戸内寂聴訳、田辺聖子の「新源氏物語」、橋本治「窯変源氏物語」等いろいろ読みましたが、今後は注釈付原文を少しずつでも読めたらいいな、と。
好きなのですよ、源氏物語が。

購入録

5/16 
「寿町美女御殿」1~3巻 山下和美

5/26
「いい電子」8巻 みずしな孝之

「君に届け」椎名軽穂

ネットで彷徨っていると、このタイトルを度々見かけるようになった。評判は概ね上々。だがなにしろ作者のことを全然知らずマーガレット系は20代以降一度も手にしたことはなかったものだから、なんとなく購入するのは躊躇し続けてきた。やはり買うからには常に当たりであってほしいもの。しかし近年は過去の名作を入手することに重点を置きすぎて最近のものにとても疎くなってしまったのが気に掛かっていたところもあり、「せっかくの連休だから」というよくわからない理由を無理矢理作って思い切って購入したのだった。

なんともかんとも青春ものだー。切なかったり楽しかったり甘かったり馬鹿だったり。

主人公である爽子は見た目の印象が暗いのと控え目過ぎる性分のせいでいじめられているというわけではないけれどクラスから孤立してしまっているうえに「貞子」ともはやバケモノ扱いされてるにもかかわらず、下手くそなコミュニケーション能力を全開にしてなんとか打ち解けようと前向きな思考で彼女なりに努力し、クラスの雑用を皆の役に立ちたいからと人にも知れず多く引き受けている。
爽子は不器用すぎるのだろう。一人っ子ということも起因すると思うが、自分の思考の中だけで変に展開、完結させてしまって相手への言葉が足りなさ過ぎる点が、見た目の陰気さと合わさって多く誤解を招いてしまったのだろう。
周囲の人間も印象や耳にする真偽も定かでない噂だけで爽子という人物像を作り上げてしまって、本当のところは知ろうともせず避けている。これは爽子が根が大変素直で人を疑おうともしない世間知らずなお嬢さんだから「周囲と上手く打ち解けられていない」というレベルで済んだ話だが、現実には普通誰しも爽子の立場であったなら「いじめの一種」と捉えてしまう境遇だと思う。爽子がある意味鈍感でよかったといえる事態なのだ。
爽子には変な卑屈さが微塵もないのだ。見た目の暗さとはうらはらに実に前向きな思考の持ち主だ。それが行動に上手く出せず感情に上手く表せないだけなのだ。そんな爽子の本来の魅力にいち早く気がついていた風早くんという突破口を得て少しずつ周囲と打ち解け始めて、誤解や偏見を乗り越えてついには吉田、矢野という親友を得るくだりは本当に感動してしまった。

ごく普通に高校生活を謳歌できるようになった爽子がごく普通のことでいちいち感動している姿が、それまでの実は淋しく辛い状況だったことを反映しているようでもの悲しくなる。それほど重くないノリでストーリーは描かれているがつい深読みしてしまって、爽子の今後に幸あれ、と願ってしまうのだった。
いらっしゃいませ。

ツモ

Author:ツモ
30代後半女。
→四十路突入。
→もうすぐバカボンのパパ越え。
→日本女性の平均寿命に向かって折り返し地点あたり。別にそこまで長く生きたいわけでもない。とりあえずの目標はこの先20年くらい。

暴れまわった娘時代の反動か、自宅にひきこもりがち。相方、娘二人と古都の端っこで地味に暮している。


気まぐれにしか更新しないくせに、記事がやたらと長くなる傾向にある。

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