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強い女 その2

讃良に関してだけでも、男と女のすれ違う想いがあーでもないこーでもない、と散々描かれている『天上の虹』なのだが、讃良の周囲の多くの人々も同様に男と女のことであーでもないこーでもないと散々描かれている。しかもそれぞれがどうにも上手くかみ合わず一様に悶々としたりしていて、はっきりいってずどーんと重々しいことこの上ないのだ。身分貴い人たちが登場人物の主なので自由恋愛なんてどんな都市伝説?級のことであっただろうけれど。高市皇子と十市皇女の悲恋がその代表エピソードである。

登場人物は史実に名を残す実在の人物である。しかし発掘調査や研究で、すべてなにもかもが立証されているのでなく伝聞や通説も多い。
作者のねらいとして、確証している史実は捻じ曲げず、かつ不確定な要素については想像で描く、ということらしい。作者の想像でドラマ化されているわけだ。これはいうなれば妄想の世界なのである。そこが歴史ものの面白い所以だと思う。そして「女は大河ドラマ好き」である。
少なくともワタシは『天上の虹』を読み始めて、飛鳥時代チョーおもしれー!となったクチだ。17歳の明日香でひとり静かに興奮したクチだ。



第25章「薬師寺発願」での高市皇子と大海人天皇が病が長引く讃良皇后のことを語るエピソードはじーんとくる。
高市皇子は讃良の病が長引くのは

「長年強く雄々しく生きてこられて・・・でも心の奥では女として慈しまれたいという願いがあって、それが満たされないさびしさから気力をなくしてご病気に・・・そんな気がして・・・」と進言する。
それに対し大海人は

「あれはそんな女じゃない!」と憤慨する。「ふつうの女といっしょにするな!それは讃良への侮辱だぞ!」と続ける。そして「讃良への侮辱は国家に対する侮辱だからだ!」
と言い切るのだ。ワタシはこの場面が本当に大好きだ。

高市皇子はのちに讃良を見舞い、この時の話を讃良に聞かせる。
「そういう愛し方もあるのだとはじめて知りました。父上にとって讃良さまへの気持ちは、ひとつの信念・・・なんですね」と感想を述べる。そして

「感動を覚えました」

と言う。


第60章「対決のとき」において。
犬養三千代が藤原不比等と婚姻する報告を上皇である讃良にするとき、讃良と大海人の夫婦の姿を、みごとな信頼で結ばれた”戦友”だ、自分たちはそれに憧れている、と褒め称える場面がある。
讃良は、夫には「女」が多くいて、自分は女としては少し寂しかったが、でも戦友として信頼されたのは自分ひとりだった、と自分たち夫婦の関係を思い起こす。

「それがわたしの誇りであり、生きる意味になった」


讃良のキャラクタ設定だけでも、愛を乞う人、といった描き方で、実際がどういった人物であったのかなぞ結局のところどんな偉い研究者でも絶対これ!と立証することは不可能なわけだ。人というものは多面性があって当然でその心の中まで覗くことは不可能なわけである。通説は通説に過ぎないのだ。
ビバ妄想。(真面目に研究しておられる先生方などには「妄想」とは甚だ不適切な言葉ということはしかと理解。でも妄想は無限の可能性を秘めている!キリッ!)


讃良が「自分は本来弱い人間だ。しかし強く見せようとしてそう演じているに過ぎないのだ」と幼い頃から絶大に信頼していた額田王に思わず吐露してしまう場面がある。
それを受けて額田王が「そう演じることによって段々とそれが本物になるのだ」と聞かせる。
ワタシは若い頃、これに大変感銘をうけたのを覚えている。

ここぞというところで、強くありたい。


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いらっしゃいませ。

ツモ

Author:ツモ
30代後半女。
→四十路突入。
→もうすぐバカボンのパパ越え。
→日本女性の平均寿命に向かって折り返し地点あたり。別にそこまで長く生きたいわけでもない。とりあえずの目標はこの先20年くらい。

暴れまわった娘時代の反動か、自宅にひきこもりがち。相方、娘二人と古都の端っこで地味に暮している。


気まぐれにしか更新しないくせに、記事がやたらと長くなる傾向にある。

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