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「君に届け」椎名軽穂

ネットで彷徨っていると、このタイトルを度々見かけるようになった。評判は概ね上々。だがなにしろ作者のことを全然知らずマーガレット系は20代以降一度も手にしたことはなかったものだから、なんとなく購入するのは躊躇し続けてきた。やはり買うからには常に当たりであってほしいもの。しかし近年は過去の名作を入手することに重点を置きすぎて最近のものにとても疎くなってしまったのが気に掛かっていたところもあり、「せっかくの連休だから」というよくわからない理由を無理矢理作って思い切って購入したのだった。

なんともかんとも青春ものだー。切なかったり楽しかったり甘かったり馬鹿だったり。

主人公である爽子は見た目の印象が暗いのと控え目過ぎる性分のせいでいじめられているというわけではないけれどクラスから孤立してしまっているうえに「貞子」ともはやバケモノ扱いされてるにもかかわらず、下手くそなコミュニケーション能力を全開にしてなんとか打ち解けようと前向きな思考で彼女なりに努力し、クラスの雑用を皆の役に立ちたいからと人にも知れず多く引き受けている。
爽子は不器用すぎるのだろう。一人っ子ということも起因すると思うが、自分の思考の中だけで変に展開、完結させてしまって相手への言葉が足りなさ過ぎる点が、見た目の陰気さと合わさって多く誤解を招いてしまったのだろう。
周囲の人間も印象や耳にする真偽も定かでない噂だけで爽子という人物像を作り上げてしまって、本当のところは知ろうともせず避けている。これは爽子が根が大変素直で人を疑おうともしない世間知らずなお嬢さんだから「周囲と上手く打ち解けられていない」というレベルで済んだ話だが、現実には普通誰しも爽子の立場であったなら「いじめの一種」と捉えてしまう境遇だと思う。爽子がある意味鈍感でよかったといえる事態なのだ。
爽子には変な卑屈さが微塵もないのだ。見た目の暗さとはうらはらに実に前向きな思考の持ち主だ。それが行動に上手く出せず感情に上手く表せないだけなのだ。そんな爽子の本来の魅力にいち早く気がついていた風早くんという突破口を得て少しずつ周囲と打ち解け始めて、誤解や偏見を乗り越えてついには吉田、矢野という親友を得るくだりは本当に感動してしまった。

ごく普通に高校生活を謳歌できるようになった爽子がごく普通のことでいちいち感動している姿が、それまでの実は淋しく辛い状況だったことを反映しているようでもの悲しくなる。それほど重くないノリでストーリーは描かれているがつい深読みしてしまって、爽子の今後に幸あれ、と願ってしまうのだった。
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ツモ

Author:ツモ
30代後半女。
→四十路突入。
→もうすぐバカボンのパパ越え。
→日本女性の平均寿命に向かって折り返し地点あたり。別にそこまで長く生きたいわけでもない。とりあえずの目標はこの先20年くらい。

暴れまわった娘時代の反動か、自宅にひきこもりがち。相方、娘二人と古都の端っこで地味に暮している。


気まぐれにしか更新しないくせに、記事がやたらと長くなる傾向にある。

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