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特別な女の子 その1

遠藤淑子の短編『エイミー』に、主人公の女子高生が上手く自分の感情や行動を制御できない冴えない青春を憂い、こう呟く場面がある。

「あーあ、あたしナウシカみたいになりたかったなー。ナウシカみたいに、特別な女の子になりたかった。」



長編アニメ映画『風の谷のナウシカ』をワタシが初めて観たのは思春期に入ったばかりの頃で、テレビ初放送だったそれをVHSビデオで録画して、そりゃあもう数え切れないほど何度も何度も観た。

腐海と蟲たちという過酷な自然と心を通わせ、人に優しく、とても賢く、時に雄雄しく、時に可憐で、果てには人々の救世主となるナウシカはまさに「特別な女の子」であり、ワタシは少女期から思春期かけてとても憧れた。
無垢に夢と希望を持って未来を想像した幼少期を過ぎ、将来になにかぼんやりとした不安を感じるようになり、いつかおそらく自分が何者でもない大多数の中のひとりとして世間に埋もれていくだろうことにつまらなさを感じた不安定な思春期の感情から生まれる「ヒロイン願望」からの憧れであると思う。


『風の谷のナウシカ』の舞台は、高度な文明が滅亡し時の彼方に忘れ去られて人類の存続が風前の灯となっているという過酷な時代である。しかし風の谷の民の牧歌的な暮らしの描写を見せられると、その過酷さというものは想像が難しい。腐海の脅威に人類の生命が晒されているという設定は頭で理解はしても、風の谷の長閑さと和やかさの印象が勝ってしまい、平穏な暮らし(に見えてしまう)の中で、その人柄で皆に慕われ、族長の娘、つまりは小国のお姫様であるナウシカはこれだけですでに「特別な女の子」である。

そしてメーヴェ、まさにナウシカ専用である。メーヴェがナウシカのヒロイン度をさらに上げるのだ。
映画後半、アスベルの手助けでペジテのブリッグからメーヴェで脱出したナウシカが、追ってきたトルメキアのコルベットに攻撃されながらも被弾することなく飛び続け、救援に飛んできたガンシップが見事コルベットを撃墜する、というここは名場面のひとつであるが、メーヴェの機動力の高さとナウシカの華麗な飛行テクニック、そしてメーヴェそのものの鳥の翼のような美しいフォルムはまさに主人公専用でヒロインの重要要素のひとつである。

そんな「特別な女の子」のナウシカの、人類の脅威たる腐海と蟲を理解しあらゆる生命そのものを等しく見据え愛す心に感動し、人間の果てない欲望と愚かさを嘆き悲しむ姿に切なくなる。
ナウシカはもはや女神だ。物語の終わり、ナウシカはまさに救世主たる女神として人々の前に降臨するのだ。
これほどまでに「特別な女の子」に仕立て上げられたナウシカに憧れないはずもない。


(続きます。)






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ツモ

Author:ツモ
30代後半女。
→四十路突入。
→もうすぐバカボンのパパ越え。
→日本女性の平均寿命に向かって折り返し地点あたり。別にそこまで長く生きたいわけでもない。とりあえずの目標はこの先20年くらい。

暴れまわった娘時代の反動か、自宅にひきこもりがち。相方、娘二人と古都の端っこで地味に暮している。


気まぐれにしか更新しないくせに、記事がやたらと長くなる傾向にある。

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