スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

特別すぎた娘 その1

さて、『風の谷のナウシカ』の原作マンガについてである。
アニメージュコミックスのワイド版で全7巻、映画版はその1~2巻までのストーリーを一部改変して制作されている。

高校生になったばかりの頃に知り合った同級生から、まだ観ていなかった『天空の城ラピュタ』のビデオを借りることができ、後日その人を含めた数名の同級生とラピュタ談義からマンガ話、他のアニメ映画のあれこれなどの話で盛り上がった放課後があった。
それに参加していたメンバはOVAなんかも結構観ていて、ワタシはそういう分野はあまり知らなかった。あれ知ってる?これは?的質問を投げられて、「いやー、知らなくて申し訳ない。ナウシカなら何回も観てるからわかるんだけど、その程度だねー」なんて答えたのだが、「あ、じゃあ原作は読んでる?」とさらに質問されてしまった。
で、当時のワタシは原作を読んだことがなかった。「まだ連載終わってないから話途中だけど、映画版よりもっと面白いと思うから読んでみなよ、貸したげる」と翌日には持ってきてくれたのが、当時出てた4巻までだったと記憶する。ありがたく借りてそれこそ舐めるように読ませてもらった。
後にやはり手元に置きたくて自分も1巻から買い揃え始めたが、結局最終巻が出たのはワタシがすっかり大人になってしまってからだった。

途中長く連載が中断した期間もあったらしくそれが一因とも言えるのでないかと思うのだが、作者がはじめに想定した物語の着地点と実際のそれとはおそらく違ったであろうと推測する。
こういったことは多くの人気長編マンガにあることだから別に珍しいことでもないし、全体として物語が破綻していなければ、説明不足の点などは読者が勝手に想像したり妄想したりして楽しめばいい。風呂敷の広げすぎは物語を無駄に引き伸ばし収束を阻む恐れはあるが、そもそも風呂敷は広げて使うものであるからして、広げ具合の程度の問題なだけである。

『風の谷のナウシカ』を始めから一息に読むたびに感じるのは、萩尾望都『百億の昼と千億の夜』を一息に読んだ時の感覚に似ているということである。
頭がぐるぐるする、というのとはまた違うのだけど、なにかが引っ掛かっているようでいて、それが何なのかはわからない。どこか煙に巻かれているような気がする。その感覚が似ているのだ。これは大変個人的な感覚、というか印象なので、「両作品のどこが似てるっていうんだ?」と突っ込まれてしまうと、いや全然話は違いますです、どうもすみません、としか申し上げられないのだが、読後感の感覚がワタシにとって似通っているのだから仕方ない。

停止する場面もあるが基本的にナウシカは物語を疾走し続ける。物語の時間軸の移動に少々の前後はあれ、ずっと先にすっ飛ばされることがない。
クシャナがナウシカについてこう語る。

「あの娘は自分でも気づかずに我々を渦の中心にみちびいているのだ」

ナウシカはロードムービー的に、時に受動的に時に能動的に出来事に応じ、また疾走して行く。ナウシカの心の赴くままの旅路は目指す渦が何処にあるのかわからない。これか?と思った渦に到着したかと思えば実はまだ先に渦があって、目指す渦の位置が測れない。
続きを待つ間、目指す渦の位置が測れない不安定感は物語の最終着地点の想像を阻んだ。

いよいよ迎えた結末、それは明るい未来への旅立ちなどではなく、永い黄昏の時代の生命の命運すべてを「この星」に託し、人類の業苦を受け入れつつも生ある限り必死に生きていこう、というものだった。この結末には相当の賛否両論が生じたようである。高度文明の復興の可能性を拒否し破壊したナウシカの決断は正しかったのか否か、といったところではないだろうか。


説明が読者の想像に委ねられた点も多いのでワタシの個人的解釈で述べることが多くなるが、あくまで一読者の勝手な見解ということでご容赦いただきたい。


(続きます)







スポンサーサイト

Comment

Comment Form
公開設定

いらっしゃいませ。

ツモ

Author:ツモ
30代後半女。
→四十路突入。
→もうすぐバカボンのパパ越え。
→日本女性の平均寿命に向かって折り返し地点あたり。別にそこまで長く生きたいわけでもない。とりあえずの目標はこの先20年くらい。

暴れまわった娘時代の反動か、自宅にひきこもりがち。相方、娘二人と古都の端っこで地味に暮している。


気まぐれにしか更新しないくせに、記事がやたらと長くなる傾向にある。

カテゴリー
最近の記事
月別アーカイブ
06  05  03  02  01  12  11  10  09  08  07  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02 
最近のコメント
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
本・雑誌
958位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
553位
アクセスランキングを見る>>
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク
ブログ内検索
RSSフィード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。