スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

北島マヤの生い立ちから考える

ワタシは裕福とは決して言えない育ちだ。だから逆にマンガの世界なんかではお姫様やお嬢様にとても惹かれる。決して自分が踏み込むことがない世界は憧れと羨望の対象だ。

しかし古典的少女マンガのお姫様やお嬢様は大抵が主人公のイジメ役だったり敵役だったりで、例えば『キャンディキャンディ』におけるイライザはまさにこれに当たる。せっかくの上流階級育ちもあまりにひどい性格が台無しにしている。ノブレス・オブリージュの精神は全くない。
『ガラスの仮面』におけるこのポジションは姫川亜弓である。イライザのように主人公をイジメぬくような非道なキャラクタではないにせよ、作品初期の頃の印象は決して良いものではない。貧乏育ちの苦労人である主人公のライバル役として対極のゴージャスな育ちと環境の持ち主で、且つちょっぴり意地悪ともいえる上から目線の亜弓だったのだ。このあたりは各読者によって解釈が違ってくると思うのだが、ワタシにとって作品初期の亜弓は「主人公の意地悪ライバル役」の位置づけだった。

主人公である北島マヤは相当貧しく淋しい育ちだ。父親を早くに亡くし母子ふたりきり、しがない中華料理店で住み込みで働きつつ細々と暮していた。学校の教材費のようなものも滞納せざるを得ないような経済状況だったようだ。学校の勉強は不得意で手先も不器用な地味な少女で、映画やテレビドラマを観ることだけが大好きなのだが、もちろんそういったものを存分に楽しめる環境下にない。
出前の手伝いをさせられていて、映画館に配達に行ったものならついついそのまま映画に見入ってしまって残りの手伝いを忘れ去るほどに没頭してしまう。部屋にテレビが無くて、でもどうしてもドラマが見たいあまりに屋根伝いによその家のテレビを遠目でもいいから見ようとする。そんな愚かしいともいえるような行動をしてしまうほどになにも持てず与えられずの育ちなのだ。

ワタシは確かに細々とした暮らしの中で育ったがマヤほどの貧しい育ちだったわけではない。しかし対極の亜弓の夢のようなゴージャスな育ちに比べるとやはりマヤの育ちに近いものを感じた。
先に述べた、マヤが屋根伝いでよその家のテレビを見ようとしたところの続き、その無茶な行為を偶然見た近所の顔見知りであろう夫妻は親切にマヤを家に上げてやる。恐縮しつつお邪魔するマヤに

おばさん「さ、ケーキ用意しておいたのよ。おあがんなさい」
マヤ  「わーっおいしそう!うれしいわ、ありがとうおばさん!うちの母さんケーキなんか買ってくれないの!うわあうわあ、おいしそう!わあっ生クリームがおいしい!」

ワタシの子供の頃はケーキは特別なものだった。食べられるのは誕生日とクリスマスの年2回。ケーキの飾りの可愛らしさに笑みを誘われ、生クリームのとろけるような甘さにうっとりした。ケーキは日常食べられるものではなかったのだ。というより、特別でない日にでも食べるという考えすらなかった。ケーキがおやつに食べられる家はお金持ちだと思っていた。
ワタシの子供時代は日本経済の安定成長期とちょうど一致し、一般家庭の中流意識がかなり高まった時代である。それから考えるとやはりワタシの家は時代の波に合わない苦しい経済状況だったと現在なら容易に推測できる。たぶんよその家ではもっと気軽にケーキを食べただろうし、特別なものなどではなかっただろう。でもワタシには夢のような特別なものだったのだ。マヤが生クリームに喜ぶ姿は自分の姿だった。

でもワタシの家にはさすがにテレビはあったし、マヤのように娯楽が一切なかったわけではない。
両親は苦しい家計の中でも子供を楽しませようと様々に努力したと思う。CMで「モノより思い出」というコピーがあったけれど、まさにそういう風に両親はワタシを育てた。ささやかなお弁当を持って休みには大きな公園に出かけ一日中走り回って遊んでくれたし、ケーキが食べられるイベントの日の食事はトンカツや唐揚げで、肉なんか絶対安物だっただろうけれど工夫して美味しく料理し、洋食スタイルでナイフとフォークで食べるようにしてみてくれたり、コース料理のように仕立て上げてくれたものだ。おかげでワタシはマヤのように引け目を感じて育った覚えはない。貧しさを感じた覚えはワタシにはないのだ。

両親健康で揃っていてくれたので母子家庭のマヤの家と比べると余裕があって当然かもしれないが、マヤが学費を滞納せざるをえなかったりしたのは母親の春の勉強不足にも原因があると思う。母子家庭の公的援助が当時でもなかったはずはない。学校教材費などは世帯の年収が一定より低ければ免除されることもできたはずだ。
マヤが不器用な人間に育ったのは、春がそもそも不器用で世渡り下手だったことに起因するのだろうと思う。


(続きます)
スポンサーサイト

Comment

Comment Form
公開設定

いらっしゃいませ。

ツモ

Author:ツモ
30代後半女。
→四十路突入。
→もうすぐバカボンのパパ越え。
→日本女性の平均寿命に向かって折り返し地点あたり。別にそこまで長く生きたいわけでもない。とりあえずの目標はこの先20年くらい。

暴れまわった娘時代の反動か、自宅にひきこもりがち。相方、娘二人と古都の端っこで地味に暮している。


気まぐれにしか更新しないくせに、記事がやたらと長くなる傾向にある。

カテゴリー
最近の記事
月別アーカイブ
06  05  03  02  01  12  11  10  09  08  07  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02 
最近のコメント
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
本・雑誌
1303位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
746位
アクセスランキングを見る>>
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク
ブログ内検索
RSSフィード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。